気楽さの効用

今日何気なくテレビを見ていると、昔オリンピックのロサンジェルス大会で、柔道の山下泰弘選手と決勝を戦って敗れたエジプトのラシュワン選手が出ていました。

決勝戦は山下選手が右足を痛めてたいへんなハンディーを背負っていたのですが、ラシュワンさんは決してその右足を攻めようとはしなっかたのです。そのきれいなスポーツマンシップにはみんなが感動したものです。その試合のビデオを放映し、また現在ラシュワン選手がどこでどうしているのかを探し当てて、山下選手と涙の面会をしていました。

その試合のラシュワン選手のものすごいオーラと素晴らしい人間性にたいへん感動しました。金メダルをどうしても欲しいと思えば何とか相手の弱点を攻めて金メダルをもぎ取ろうとするのが普通ですが、相手の最大の力を発揮させて本当の実力どうしで戦おうとするその心にはだれもが感動せざるを得ないでしょう。

この社会ではなんとか人を押しのけても自分だけが・・・という人が多い中、ラシュワン選手の人間性に触れることができて何か心が温かくなってきたような気がしました。
身近なまわりを考えてみても、今の社会は何かぎすぎすしすぎてているような気がします。もっと気楽に、おおらかに生きられないものでしょうか?

ほとんどのビジネスが気楽な方が人の心を引き付け、成果が上がることを忘れているような気がします。会社などにおいても短期的な効率性のみを重んじ、またノルマやリストラなどの恐怖心を煽って、以前はさかんに言われたゆとりなどはどこ吹く風といった状況です。もちろん効率性も重要ではありますが、それが高じると社員の士気も衰え、長期的には大きなマイナスを背負ってしまうことに気がついていないように思えまてなりません。

 従業員の士気や誠実さ、忠誠心があがるのは、会社の雰囲気に気楽さがあるときだといわれます。こういう話が本に書いてありました。

「私はあるペットショップで買い物をするのですが、そこの店主はたいへん鷹揚な人です。決して急ぐ様子もなく、いつもお客とおしゃべりしています。そして自分が留守にしていても従業員がしっかりやっていてくれると信じているのです。

私は古くからの顧客で、ここの従業員のほとんどが何年もそこで働き続けているのを知っています。この地域では人の入れ替わりが激しくこんなことは稀な偉業なのです。長い間働き、やめてしばらくしてからまた帰ってきた店員もいます。この店には、働く人にも買う人にも、何か心を豊かにしてくれるものがあるのです。

このペットショップと同じ通りの商店街に、もう一軒ペットショップがあるのですが、そこの経営者は暴君です。彼はいつもぎすぎすし、店員の間違いが我慢ならないのです。

明らかに仕事を楽しんでいず、いつも闘っているようなのです。行く度に同じ店員がいたためしがありません。そこは親しみやすい雰囲気がなく、気楽な雰囲気もないのです。

そこの経営者は、もっと気楽にすればより多くの喜びと成功が生み出せることを知らないのです。彼の威圧的な経営は、得られるものよりも、従業員が入れ替わることで効率を悪くしているのではにかと思います。

この二軒の店は、たった一ブロックしか離れていないのに、世界の果てほどかけ離れているのです。」

このように豊かに生きていくうえには気楽さが必要で、その気楽さがまわりにも良い影響を与え、そして自分も満ち足りた気分になっていくのではないでしょうか?

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