モーツァルト「魔笛」いろいろ
VDレコーダーを購入し、あまりにも使い勝手が良く、また、新年早々にはモーツアルト特集を連続でやっていましたので、これ幸いと予約して録画を続けました。
高校の音楽の時間ではトスカの「星も光りぬ」が学期試験の課題となってイタリア語で覚えたりしたこともあり、アリアにはたいへん興味はあったのですが、CDでオペラの抜粋やアリア集などはたまに聞いたりしてはいたものの、オペラはやはりその映像と一緒でなければ実感が出ないという思いをいつもしていました。いつかは舞台を見てみたいという強い希望は持っていたものの近寄り難い存在でした。
また昔はビデオやDVDなどの購入は高価でなかなか手が出なかったのですが、オペラのDVDも3000円程度の廉価版もたくさん出るようになって(そのためかすぐに売り切れてしまうようですが・・)たいへん身近なものになりました。
オペラを聴くには時間がかかるため、なかなか根性がいりますので、新年に録画したモーツアルトのオペラの中でも、まず一番なじみのある「魔笛」から聴くことにしました。
BSで放映していたのは、コリン・デーヴィス指揮、コヴェント・ガーデン王立歌劇場管弦楽団・合唱団のものでした。この魔笛ではパパゲーノの衣装はたいへんおとなしい野良着風のもので、鳥の帽子をかぶっているだけです。このパパゲーノはサイモン・キーンリーサイドというバリトン歌手で、なかなか声量のある実力のある歌手のように思えました。魔笛はドイツ語でのオペラということもあって他の配役は全部ドイツ人なのですが、このパパゲーノ役のキーンリーサイドだけが英国人とのことです。パミーナは可愛らしさが今ひとつで、ちょっと残念かななどと思ったり・・・。
そもそも魔笛を見たのは20年ほど前、スウェーデンの映画監督ベルイマンの映画版に興味を持って、ビデオで見たのが一番初めで強烈な印象を受けたのですが、その他に、この正月からメトロポリタン歌劇場でのレヴァイン指揮の「魔笛」、さらには芸術監督がロルフ・リーバ?マン、ホルスト・シュタイン指揮、ハンブルク・フィルハーモニー管弦楽団・合唱団晩のDVDを、ディズニー映画のように美しいエディット・マティスのパミーナ、最も好きなバリトン歌手フィシャーディスカウが弁者をやっているという言葉につられて購入し、魔笛については現在手持ちのコレクションが3つになりました(ベルイマンのビデオは紛失したままです)。
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これらを見比べてみると、同じ「魔笛」でも演出や配役によって随分違うものだなと感じます。また舞台の演出によってもガラッと違うのでそれぞれ見比べてみるのがたいへん楽しいものだということがわかりました。
これらを比べてみて、一番印象が強いのは夜の女王です。「夜の女王の歌を歌いたくてオペラ歌手になった」という女性歌手がたいへん多いということですが、確かに夜の女王が歌う2曲の歌は絶対にそのときの印象は忘れられないほど強烈なものです。その中でもDVDの表紙にもなっているだけあって、BSで放映されたコヴェントガーデンでのディアーナ・ダムラウの夜の女王は圧巻でした。三日月を背景にして、ものすごい迫力で、高音の伸びも素晴らしく、いかにも魔女といった感じの強烈さが素晴らしいく、あまりにも強烈なので夢にも出てきそうです。
また魔笛としてはフリーメーソンの儀式に従った魂の成長物語として素晴らしいのはもちろんですが、私がこの魔笛で何より感心し、好きになったのはパミーナを我が物にしようとするモノスタトスです。このモノスタトスの描き方も三者三様ですが、一番魅力的で忘れられないほどのインパクトのあるのはBS放映のエイドリアン・トンプソンが演じるモノスタトスです。悪役であるのにもかかわらず、全くにくめない、逆に一所懸命パミーナを愛するひたむきな可愛らしさが何ともいえない味をかもし出しているように思えます。気絶しているパミーナを襲おうとして「お月さん、目を閉じてくだせぇ ・・・」と歌うあたりは最高ですね。その他のDVDでは何とも醜悪な悪漢ぶりであったりして、特にハンブルグフィルのDVD版でのモノスタトスは気持ちが悪かったりしますので、モノスタトスに関しては、いまひとつかと思っています。
このように「魔笛」はたくさんDVDも出ていますし、視聴データもhttp://www.ne.jp/asahi/sayuri/home/music/magicdata.htmに紹介されています。私もこのデータはDVDを選ぶのにたいへん参考にさせていただきました。もっとたくさんの「魔笛」を聞き比べる楽しみが増えました。
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