大蔵官僚の奇妙な体験

 十数年前に私にとって人生の生き方を左右する程のインパクトを与えてくれた雑誌記事がありました。
それは今日では多数の英語の翻訳本を、妻の亜希子さんと共同で執筆されている山川紘矢さんが、翻訳を仕事とするきっかけとなったいきさつを書かれた月刊誌の記事でした。
 記事の題名は「シャーリーマクレーンをめぐる「大蔵官僚」の奇妙な体験」というものです。当時は1984年だったそうですが、東大を卒業されて大蔵省に入られた山川さんは、世界銀行に出向してワシントンDCに住んでおられました。もともと国際的な分野で活躍したいと思っておられたので毎日が楽しく、仕事もやりがいがあり、何不自由ない快適な日々を送られていたそうです。
 ところがある日秘書の机に上に何気なく置かれていたオレンジ色の本に心が引かれ、さっそく買って読まれました。それが日本でも「アパートの鍵貸します」などで有名な大女優シャーリーマクレーンとの出会いだったのです。その本は当時アメリカでベストセラーとなっていた「アウト・オン・ア・リム」という本だったのですが、そんなベストセラーでありながら日本ではまだ誰も版権を獲得しておらず、山川さんはその本が「すばらしい真理を伝えている本である」と直感し、どうしても日本の読者にも読んでもらうことが自分の使命のように感じて翻訳を決意したとのことでした。
 「アウト・オン・ア・リム」はその後日本でもたいへん良く売れて映画にもなりましたので読まれた方も多いのではないかと思います。
その本は、彼女が40代に出逢った実際の体験から彼女の内面の旅を綴ったもので、簡単に本の概要を説明しますと、ある著名な政治家との実りのない恋が、思わぬ体験に彼女を導き、数々の神秘的な体験をきっかけに始まった精神世界の旅は、ついにはアンデスでの体外遊離体験へと発展します。本当の自分、神、宇宙について学びながら、富や名声、友情や恋愛さえも超えた大いなる世界に目覚めてゆく過程を綴ったものです。
その中に書かれている、精霊、魂、前世、UFO、幽体離脱、輪廻転生など、山川さんにとってとても信じられない話だったそうなのですが、なぜか興味を引かれ、一気に読んでしまったそうです。 その本に出会う前に、当時ベトナム帰還兵の人間性回復のために効果があった「気づきのセミナー」に参加され、自分を大切にすること、自分を受け入れ愛すること、すべてが自分の責任であることなど、「自分自身を知る」ということがすべての鍵であるということを認識されていた後であったので、彼女の本になおさら共感されたのだということです。
 その出版がきっかけで山川さんは常識ではありえない不思議な体験をなさるのですが、シャーリーの本を出版をされてからひどい喘息になり、そのため大蔵省をやめてご夫婦で本格的に翻訳活動をなさるようになりました。
私も大学生の頃から輪廻転生や前世、また四次元世界などに大いなる興味を持っており、また某大学の工学部を卒業して当時は建設省に籍を置いていたこともあって、山川さんには遠く及ばないもの、同じ官僚どうしであるなど似たような境遇であったため、そういった生き方を選ばれた氏にあこがれを持つと同時に、たいへん心を揺さぶられました。
 特に精神世界では伝説ともなっているサンジェルマン伯爵から「世の中の動きはすべて計画されているのだ。大蔵省の人事、それどころか、お前が生まれたとき以前から、すべては宇宙の計画のもとにあるのだ」と言われたということも、やはりそうなのかと大きな感動を覚えたものです。
 山川さんが大蔵省に入られたのも、世界銀行に行かれてたまたまシャーリーの本をみつけて翻訳出版し、またシャーリー本人にも会って不思議な体験を重ねて精神世界に目覚め、ついには喘息にもなって大蔵省を辞められ、ご夫婦と翻訳活動を続けられるような波瀾に満ちた人生を送られているのも宇宙のプログラムに従われているのだと思うと、何と人生は不思議に満ち、楽しいドラマなのかと、この世に生を受けることのできた感謝で胸が一杯になってきたのを覚えています。

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Posted by ヨッシー