損得より人とのつながり

今日もまた日経ビジネス誌の「有訓無訓」から、感動した話しをご紹介します。
オートウェーブの広岡会長の「損得より人とのつながり、寛容な父に学んだ商人道」です。
広岡会長がこれまでの人生で、何より大切にし、強い興味を持ち続けてきたのは「人」そのもの、つまり、どうしたらお客様に喜んでいただけるのか、お客様に喜ばれる社員をいかに育てるか、この2つを考えることに起きている時間のほとんどを費やしてきたとのことです。
そしてお客様に喜んでもらいたいと思うのはそれが儲けにつながるからではなく、1人でも多くの人に店に来てほしいからで、それ以上でも以下でもないのだそうです。
結局のところこの世は何が得で何が損かはわからないのですから、目先の損得を考えない方が結果的に仕事はうまくいくし、楽しく生きれます。機嫌良く1日1日を生きていくことこそが大切で、その手本になっているのは番傘作りの職人だったお父さんだそうです。
お父さんは小さな町工場を経営して、傘の他にも竹かごや竹刀の材料を売っておられました。ところが、取引先の中には、約束していた盆暮れの決済期限が来ても、代金を払わないところがあります。こちらの懐も決して楽ではないので、普通ならば「払ってくれ」と催促しなければならないところです。しかし、お父さんはお母さんがいくら心配しても「それでいいんだ」というだけだったのですが、すると2?3年経って忘れたころにお金を持った人が確かに出てくるということです。
 広岡会長も子供の頃はそんなお父さんの生き方を馬鹿にしていたのですが、自分が働くようになって「親父、実はすごいじゃないか」と思うようになりました。
 18歳でオートバックスセブンに入って全国の取引先を回っていると、人とのつながりがいかに大切かを身にしみてわかり、「損得は考えない方がいい。じゃあ、商売って何なんだ。」このようなことに思いを巡らせながら、自分にも親父の血が流れていると実感したそうです。
1990年に自分の店を開かれ、それ以降実践して来られたサービスはどれも「お客様に喜ばれたい。」という一心で導入してきたもので、常に未来を考えてお客様の心をとらえていきたい、と毎日精一杯それに取り組んでいるため今ぱたっと死んでも悔いはないのだとのことです。
 こういう会社の理念、哲学を何があっても実践していこうという企業は素晴らしいと思います。こういう言葉を聞きますと、いい加減なことばかりをしてきたり、従業員をまるでロボットのように扱ったり、儲けるためには手段を選ばずと言ったような会社の話しばかりが話題になる中、日本人そのものまた日本の会社ももまだまだ捨てたものではないと心強くなってきますね。

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